- 老いた両親にも、私にも。やさしい時間
が流れる家にリフォームしました。
不便を我慢して暮らすほうがもったいない。
40年前にご両親が建てた我が家を、娘さんがリフォーム。3ヶ月間の断熱・耐震リフォーム工事を無事に終え、家族3人の穏やかな日常が戻って来たN邸です。
「でも、今までの日常とは違います。生活のスタイルががらっと変わりました。明るく、風通しも良くなってすごく快適。思い切ってリフォームして良かった」と、娘さん。細かく仕切った5DKから空間を大きく広げて3LDKの住まいにしました。
「それまで北側の部屋は暗く、冬はとにかく寒く、風呂場も寒かった。でも、もったいない世代の母は外に置いた洗濯機に残り湯を運んだりと、どんなに身体がつらくても家に合わせて辛抱強く暮らします。娘の私からすると、残り少ない人生の時間を我慢して暮らす方がむしろ、もったいない。耐震面での不安もあったので、私から両親に提案しました」。そして、それをご両親はこんな思いで受け止めました。
「もう80才を過ぎた私たち夫婦だけの暮らしなら、多少不便でも古くてもよいのですが、自分たち亡き後、娘がここで一人で暮らすのに少しでも安心で快適にしておいてやりたい」。あらためて知る親の気持ちの有難さです。
介護の事も考えて、何をするにも便利な家に。
その耐震リフォームにあたって、娘さんの背中を押してくれたのは200万円の耐震断熱同時改修補助金。「この補助金は大きかったですね。それを利用するためにこんな大掛かりな工事になってしまったのですけれど(笑)」。基礎コンクリートを打って土台を補強。壁面収納や食器棚なども耐震ロックを付けて地震対策も万全です。
小さく区切られていた1階は、仕切りを取り払って広々としたDKリビングに変身。パソコンが趣味のお父さんの部屋は家族に気兼ねなく自分の時間が過ごせるように1階に。娘さんとお母さんは2階を一緒に使っています。ドアはすべて引き戸に。将来の介護のことも考えて畳はやめ、フローリングにしました。
「トイレも車いすで入れる広さになりました。それがすごく心強い。この年令になると、いつ、足が不自由になるかわかりませんでしょう。だからといって部屋の中に便器を置くのはいやですもんね」とお母さん。ウッドデッキも、お母さんにとっては洗濯物を干すのにラクで便利。2階への階段も一段増やしてゆるやかにしています。
「何をするにも便利になって、やさしい時間が流れる家になりました」。家族の今を見つめ直すリ・ライフです。
LDK
L字型のLDK。リフォーム前は床の間のある和室と居間でした。壁面は押入れだった場所。南側の窓はウッドデッキとつなぐ大きな開口部に。寒くて暗かった北側の部屋まで光りが届くようになりました。「鴨居を取っ払ったら風通しもすごく良くなった」とお母さん。
昼間でも電灯をつけないと暗かったリフォーム前のキッチン。
階段の左側が玄関からリビングへの入口。右側はキッチンとお風呂や洗面所、お父さんの部屋をつなぐ廊下に。階段スペースが仕切り壁の役割を果たしています。階段は一段分を増やしてゆるやかにリフォーム。上がり下りしやすいように階段幅も広くし、手すりも滑り止めもつけています。
ベランダに面した納戸付きの2階は、娘さんとお母さんの部屋。「ほとんど1階にいるので寝る時ぐらい」。東西南北すべてに窓を設けているので風通しの良さは抜群。「リフォーム前の2階は、夏は蒸し暑くて、とても居られなかった。今はすごく涼しくて快適です」。